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夢の中の出来事
2007-06-13 Wed 21:46




誰か 誰か どうか…

夢の中の出来事だと

現実には起こり得ないのだと

どうか… 哂って下さい






『す…お……す…ぅ…』

 ああ、誰かが呼んでいる。

『…おう…す……すおう』


「…ぉ…ぉぅ…蘇芳!」
「えっ、あ、な、なんじゃ?」

気付けばここは蘇芳自身の部屋。
先程まで感じていた哀しみや儚さの漂う空間は存在していない。

「ゆ、め…?」
「はぁ?何云ってんだよ。それより!さっきの続き!!」
「すまぬ…何じゃったかのう?」

苦笑気味にそう云うと、相手…龍真は呆れたような、しょうがないなと云いたげな顔で笑う。

「…ったく。だから、今度の日曜どっかに遠出しようって。」
「あ、ああ。そうじゃったな」

云われてみれば、そんな話しをしていたような気がする。
曖昧に頷いて、続きを促す。

「俺としては、温泉がいいんだけど」
「龍真…おぬし、そんなチャラチャラした装いの割に爺くさいのう」

くつくつと笑みを押し殺しながら指摘する。
すると龍真は理不尽そうに眉を寄せ、ペチリ、と蘇芳の額をはじく。

「女みてぇな外見のくせに爺口調のヤツに云われたかねぇっての」
「な、なんじゃと…っ!」

先に囃し立てた己を棚に上げて、眉を吊り上げ目を剥く。
バチリと目線が絡み、一瞬険悪な雰囲気。
…だが、次の瞬間にはお互いが噴出した。

「…くくっ、わしら、どっちもどっち、じゃな」
「だな。…それに、そんなトコが好きなんだし?」

ふいに零れる愛の言葉。
刹那、呆けて見る見るうちに、元から薔薇色の頬は尚朱に染まる。
その頬に優しく手を這わせ、もう片手は首筋を伝う。

「りょ…ぅ、ま……」

なんとも間の抜けた声。しかし、それが精一杯。
紅い瞳は潤んで光沢を増し、いつもは艶かしく釣り上がっている血色の唇は咲き始めの可憐な花びらの如く僅かに開かれている。
そこに、薄い、しかし形がよくほんのりと色付いている唇が寄せられ、柔く…触れた。









「にーーぃっ!あっさですよー!!」

バンッ!と勢いよく放たれるドア。
部屋の主はその音で目を覚まし、ゆっくりと上半身を起こす。

「もう、朝か?夜が明けるのも早くなったもんじゃ」
「そんなこと云うて!どぉせ、また夜更かししとったんやろ…って…蘇芳にぃ……?」

部屋の主である蘇芳を見た瞬間、彼を起こしに来た結愛の表情が困惑に揺れる。
不思議に思い、蘇芳が小首をかしげると…ぽたり…と手の甲に雫が落ちた。

「にぃ…どないしたん。なんで…泣いとるん…?」
「………え?」

はらはらと、先程から止まる事を知らない雫。
拭っても拭っても、消えやしない。

「な、でも…なんでも、ないぞ」



そう、なんでもない。
ただ少し…幸せな夢を見すぎただけ。



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