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いとしいひとへ
2007-08-28 Tue 00:02



愛しき人へ

今はもう、届かぬ言葉






猫のための物が置いてある以外、シンプルな部屋。
その部屋に置いてあるソファ。
近付けば、銀の髪をした人が眠っていた。

「何の用だ、薔薇」
「…起きてたのか」

特に驚くわけでもなく、開かれた髪よりも濃い灰色の瞳を見つめる。
そして、彼が起き上がるのを見届けると、断りもなく隣に座りこむ。
訝しそうに見られるが何も云われないので気にはしない。

…長い、長い沈黙。
けれどふいに破られる。

「…てっきり、泣いてるかと思ってた」
「誰が泣くか…」

さも可笑しな話しを聞いたように唇の端を吊り上げる。

「泣けない、の間違いだろ」

赤い赤い、薔薇を思わせる瞳が、銀の人をじぃっと見る。
その言葉に不快そうに眉を寄せた彼を無視して、言葉をさらに紡ぐ。

「俺ね、みんな大好きだよ。雪柳の人達も…。
好きになれなくても、嫌いな人なんていないんだ。
……でも、供花だけ。供花だけが大好きで大嫌いで…」

なんてこともない様に、表情のない淡々とした口調。

「どうしようもない矛盾で、自分が嫌で、苦しくて…
一回だけ…供花が居なかったらって思ったんだ」

やっと浮かんだ表情すら、自嘲で…酷く痛々しい

「でもさ、やっぱり…哀しかったんだ。
いろ…な、こと…かんけいない…だいすきな…ともだち、だもん…っ」

自嘲の笑みを浮かべたまま、ぽろぽろと涙が溢れる。

「男が簡単に泣くなよな」
「う、るさい…っ」

ぐいっと乱暴に涙を拭い、くしゃりと頭を撫でてやる。
同時に、認めるしかない事実を想う。

「……あのバカ」
「うん」
「一緒に昼寝してたはずなのに、気付いたら居なくなってた」

確かに会ったはずのぬくもり。
目覚めれば消えていた。

「どっか出かけたのかと思って、でも帰ってこないし
訳解んないまま、アイツはもう帰ってこないとか聞かされるし
…さっきとまで居たヤツが居ないなんて、信じられないだろ?」

泣くな、と叱咤したばかりなのに
今溢れるのはなんなのか

「バカ供花、なんにも云わないで行きやがって」

ああ 寂しや

「今の、今まで…信じれなかったじゃないか」

失った人は大きすぎました





いとしきひとへ

どうか 願わくば



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