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Feelings for you are not "Favor", and "Love".
2008-07-05 Sat 23:42


愛しい人。
共に戦う戦友であり、叱ってくれる母であり、なにより…支えあう恋人。
かけがえのない僕のたった一人の最愛の人。

いつの事だったか。
不安に駆られた僕は、君に聞いたね。

『君は、僕を好き?』

聞いた瞬間、君はいつもどおりの意地悪な顔で笑った。





『バカね。「  」じゃなくて「     」のよ』








7月に入って、むしむしと暑い日本の夏。
学生は夏休みを目前に賑わっているけれど、僕は最近じゃぁ学校にも行けず仕事ばかりしている。
しかも学園近くの別宅ではなくて、今は本宅にいる。そうじゃないと仕事が捗らないから。
でもそうすると必然的に僕の可愛い可愛い槐に逢えないんだ。
それはもう、すごく寂しい。やっと傍にいられると思っていたのに。

パソコンに注がれる視線と、キーボードの上で動く指はそのままに僕はそんな事を考えていた。
それからまた幾らかの時間が過ぎて、疲れた目が休息を求めて抗うことなく従う。
…と、丁度その時障子の向こうから思いがけない言葉がかけられる。

「旦那様、お嬢様がお帰りになられました。」

いつもの僕だったら、「わざわざありがとう。」とかでも云う。
だけど、目に入れても痛くないほど愛している娘の帰宅。
言葉を発する時間すら惜しくて、僕はすぐに駆け出した。



「…っ槐!!」

居間の障子を乱暴に開くと、母(槐から見ると祖母)と楽しげにお茶をする愛娘。
何ヶ月かぶりに見る姿に、いつも以上に胸が昂揚する。
さらに愛らしい笑顔で「ただいま、父様」なんて云われたらたまらない。

「えんじゅぅ~っ!パパ寂しかったよぉ!!」
「と、父様っ。苦しいのじゃ!」

苦しがる槐を気遣うことも出来ずにぎゅっと抱きしめる。
そうすると、『身長が少し伸びたなぁ』とか、『あ、髪は少し切ったのかな?』とか、些細な変化を感じた。
嬉しくて仕様がない僕を見て母は気を利かせてくれたのか、はたまた呆れてしまったのか、いつの間にか姿を消していた。



「槐、学校はどう?」

世界中どこの父親でも聞くような、至ってごく普通の科白。
しかし、それを聞いたとたん槐は少しだけ寂しそうに微笑んだ。

「どうしたの?何かあったの?」

もしかして、いじめにでもあっているのだろうか?
嫌な考えが頭をよぎって、もし本当ならこの世から抹消してやる!とつい意気込んでしまう。
けれどそんな僕を他所に槐は左右に頭をふった。

「なにも…何もないのじゃ。気になさるな、父様」
「…そう云われて、気にならないわけないでしょう?」

どうしてか、昔からこの子は辛い事を隠す。
それがイヤで、哀しくて…どうしても怒ったように云ってしまう。
すると槐は一瞬びくっと震えて、寂しげな表情から一転。頬を赤く染めた。

「そ、その…本当になんでもないのじゃ…。
ただ…少し、逢えずに寂しいだけで……」

恥ずかしそうに、情けなさそうに俯く。
思わず、僕が安堵と呆れの溜息を零してしまったのは仕様がないと思う。

「まったく…心配したんだからね!」
「…ご、ごめんなさい」

元々小さい体をさらに縮こませて、素直に謝罪の言葉を云う。
その姿が可愛いやら、槐をこうさせるあの子が憎たらしいやら、とても複雑な心境。
だからつい、僕は聞いてしまった。

「…槐は、彼を好き?」

ああ、確か前にもこの子の母に似た事を聞いたな。
ふいに思い出す。
懐かしさに胸が痛みながら、僕は槐の答えを待った。

槐は一瞬きょとん、とした顔をして、すぐに儚くきれいに、でも強い意志に彩られた笑顔を浮かべて云った。

「『好き』じゃなくて、『愛しておる』のじゃ」





ねぇ、僕の最愛の聖母(マリア)。
性格も、想いの在り方も、微笑み方も、君に似ていないけれど
僕と君の娘は、「人を想う気持ちの強さ」はとても君にそっくりだよ。

ねぇ、僕の最愛の聖母。
僕だって、「好き」じゃなくて、「愛して」いるよ。
今なお君の笑顔が僕を揺さぶる。







『バカね。「好き」じゃなくて「愛している」のよ』


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