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同じ遺伝子
2007-02-09 Fri 23:54
「僕と君は同じ遺伝子なのに」

何百、何千、そう思っただろう。
思っては自分自身に吐き気がした。

そしてまた思う。


「 同 じ 遺 伝 子 な の に 」




外から聞こえる真白の声。
学校の友達?それともゆめ姉?

僕の直ぐ傍で体温計を持ってる母さん、こんな事云ったら怒るかな。
でも、行きたい。

「ねぇ、母さん」
「どうしたの、真黒」

実年齢より幼く見える顔をゆったりと傾げて僕を見る。

「僕も真白たちと遊びたい。
熱だってきっともうな…」

「ダメよ」

言葉の途中で母さんはぴしゃりと跳ね除けた。
顔を見れば、怒ってるような哀しんでるような…すごく不思議な表情を
してる。

「真黒は真白とは違うの
あなたは真白よりもうんと身体が弱いのよ?
それなのに遊びたいなんて…」

解ってたよ、解ってたけど。

「ごめんなさい…」
「ママこそごめんなさいね、でも真黒のことを思ってるのよ」

出た。母さんの十八番。
「貴方のことを思ってるのよ」そう云えば全部解決すると思ってるんだ。

「母さん、僕ノド乾いたんだけど…」
「いま、お水持って来るわ。ちょっと待っててね」

用件を云い切る前に母さんは立ち上がって僕の部屋を出て行く。
今のうちに。ちょっとだけ、窓から声を掛けるだけ。

そう思ってベッドから出た瞬間、まるでタイミングを計ったみたいに
真白の声がした。

「しーんーくーっ!」

真直ぐ窓に近付いて、開く。
風が冷たくて、ふるっと震えるけど気にしない。

「真白、今日はだれと遊んでるの?」
「今日はゆめ姉がきてるんだよ!ねぇ、真黒も一緒に遊ぼう」

にこぉって笑って僕を手招きする。
行きたい、遊びたい。何より真白の傍に居たい。
僕は窓から抜け出そうと思って窓枠に手をかける。

でも、その瞬間さっきの母さんの顔が思い浮かんで手が止まった。

「?どうしたの、真黒??」

不思議そうに真白が近寄ってくる。

「…母さんが、遊んじゃダメだって……」

行きたいけど、これ以上身体が進まない。
どうしよう、真白泣くかな…そうしたら…。

凄く凄く不安になって、おずおずと真白の顔を見るけど、僕の予想とは
違って、満面の笑み。

「真白…?」
「大丈夫だよ!だって、真黒は平気だって思ってるんでしょ?」
「…うん」

真白の云うとおり、僕はもう自分じゃ大丈夫だと思う。
身体だってだるくないし、咳も出ない。

「ね?行こう」

優しく微笑んで、僕に手を差し伸べる。
とうとう僕はその手を取って、外に出たんだ。

久しぶりの外。ずっと休んでたから、本当に久しぶり。

「なにして遊ぶ?」
「んー…真白は何したいの?」

そう、言葉を紡ごうとした瞬間、胃がせり上がってくる様な不快感。

「……っ!」

ほとんどなにも食べてなかったから、出てくるのは胃液ばかり。
横では真白が心配そうに背を撫でてくれる。

「大丈夫?ねぇ、大丈夫…?」
「だ、じょう…ぶ…っ」

正直、全然大丈夫じゃない。
胃なんて空っぽなのに吐き気は止まってくれないし、また熱が出てきた。
ああ、なんで僕だけこんなに…。






目が覚めたら自分の部屋にいた。
真白と僕はこっぴどく叱られて、僕はまた数日ベッドの中。

そして、また思うんだ。なんで僕だけ…って。
繰り返し繰り返し考えて。
でも、きっと意味はないよ。
同じ遺伝子のはずの僕だけ体が弱くて、真白が心底憎くても、その憎さ
以上に真白が好きだから。


何百、何千そう思っても
何千、何万と同じ遺伝子の半身を愛おしく思うよ。






補足:ゆめ姉…蝶華家の女の子。真白と真黒より3歳年上で幼馴染。



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