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紅雨
2007-02-13 Tue 22:30
しとりと降る雨

薔薇が雨に濡れて艶やかに薫る

ふるりと震えて

もうすぐ、春


ああ 春、花にそそぐ雨はなんていったっけ ?




ここは【Aroma of Rose】。薔薇を専門的に扱う店。故に店は目も眩む
ほどの薔薇で埋め尽くされている。

その店は、そう多くはない店員がいつも数人いる。特に何をするでも
なく、時折客を迎えては暇を見て話に華を咲かせている。
しかし、この日は珍しく店主の真白とその恋人である水賀の2人だけで
あった。手持ち無沙汰な二人は、どちらともなく「お茶にでもしようか」
と、切り出した。


温かい紅茶に、甘いお菓子。それから…大好きな人。凄く凄く幸せ
なはずなのに、なんとなく落ち着かない。

「(雨のせい、かなぁ…?)」

店先の薔薇に降りそそぐ雨を見てそう思う。

「(はやく、止まないかなぁ…)」

気が滅入るし、それに暖かい所に居ても寒い気がする。
ほぼ無意識に肩を擦り、なおも外を見る。

「雨、止まないな」
「え…?」

今まで静かだった水賀の声に、思わず聞き返す。

「ん?だからさ、雨止まないな…って」
「うん、そうだな。…はやく、止んで欲しい」

ぽつり、とそう洩らせば、水賀は意外そうな顔をした。

「そうか?俺は、降っててもいいけど」
「…なんで?」

自分と違う思いに興味が湧き、理由を問う。

「花が…」
「花が?」

一旦言葉を切り、云い辛そうに僅かに顔を歪める。
言葉を繰り返す真白をちろりと見、頬をかきつつも繋ぐ。

「花が、雨に濡れて匂いが強くなって、艶やかさが強くなって…」
「…うん」
「そうするのが雨ならいいか、って思ったんだよ」
「…それだけ?」
「そうだよ…、柄にもない事を…って思うだろ?」

照れくさそうに軽く頬を染め、そっぽを向く水賀。
あまり見ない姿につい、頬が緩む。

「水賀、可愛い♪」
「な…っ///」

目を見開いて更に赤みを増した顔に、へにゃりとした笑みを向ける。

「そっか…うん、それなら雨も良いかもな」
「…真白は、なんで止んで欲しかったんだ?」
「んー…何でだろうな?」

誤魔化すように笑んで、つい、と立ち上がる。
どの薔薇よりも一際紅い薔薇に近付いて、そっと撫でる。

…雨は、嫌いじゃない。でも嫌い。
見てると寂しくて、哀しくて、辛くて、焦燥に駆られて…。
誰かが居なくなってしまうような気持ちにさせるから。

…ああ、そっか。なんで、落ち着かないのか。
水賀が雨に連れて行かれそうで怖かったんだ。

「………」
「…なぁ、真白。知ってるか?」
「…?何を??」
「春、花に降りそそぐ雨の名前」

知らない、と頭を横に振る。

「紅雨、って云うんだ」
「こうう…?」
「「紅い雨」って書いて「こうう」」

もうすぐ春だし、この雨も紅雨だな。と微笑む。
その微笑みは綺麗で…すごく綺麗で、余計怖くなる。

「じゃぁ、さ…これも紅雨だよな」

触れていた薔薇を取り、「ごめんな」と口付ける。
そのままくしゃり、と花弁をちぎりとる。

「真白…?」

不思議そうな水賀に紅い花弁を撒き散らす。

「真っ赤な花びらが、雨みたいに降っただろ?」

雨は嫌い、でもこの紅い雨は好き。
この薫りは、俺のものって云ってるきがするから。

「なんだ、真白知ってたんだな」
「なにを?」
「あかい花が散る様の事も紅雨って云うんだ」

知らなかった。でも、それなら尚更、この紅雨は悪くない。

「…コッチも良いけど、俺はやっぱり雨のほうが良い」

ふいに腕を引っ張られて、水賀の胸に倒れこむ。

「雨が止まなくて良い理由、さっき云ったのもそうだけど、雨に濡れた
薔薇が、褥の真白みたいだと思ったから」

ぁぁ なんで、この人は

おもむろに、水賀の胸倉を掴み取る。

「ぅ、わ…っ?!」

 ちゅっ

「へ…?」

軽いリップ音。
赤い顔で水賀を見つめる真白。

「仕返し♪」
「…って何の?」
「秘密ーっ」

何の、なんて教えてあげない。
そうだな…もうちょっと、水賀が俺のこと大人にしてくれた時に話して
あげるかもね。


雨は苦手、嫌いじゃなくて苦手なんだ。
貴方の言葉を聞いて、少し…ほんの少しだけ、好きになったから。






~「紅雨」終幕~





リクエスト1作目、終了です!
なんか…もう、ごめんなさい(土下座)

「しんみり」じゃなくて「しっとり」に…;
しかも、水賀君、水賀君じゃないし!(ぁ)
真白も真白じゃない…っ。

こんなんで、宜しかったでしょうか…?(めっさ不安/ぁぁ)


ちなみに、「仕返し」の理由は「嫌いなものが水賀の一言で好きになった」
っていうのがちょっと悔しかった、というお子様的な理由なのですよ。
だから、もうちょっと大人になってから…みたいな?

もう1個ちなみに、真白の雨が嫌いな理由は真白の過去の複線だったり
します…(ぉぁ)


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2007-03-02 Fri 00:30 どこかの記録帳
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